京都の魅力

古寺巡礼、絢爛たる祭、歴史と文学のあとを訪ねる散歩みち

2018-01-01から1年間の記事一覧

禅定寺

東海東山北陸の三道、要約すればわが国の東国地方から、もし逢坂山を越えずして(即ち京都に触れずして)奈良に達しようとすれば、どういう道があるだろうか。 東国から兵を進めて、京に入ろうとした時、瀬田川を塞がれ、逢坂山を閉じられたとするならば、ど…

円福寺

「八幡の藪知らず」という諺がある。 八幡一帯は、藪で満ちておった里である。余りに藪が多すぎて、どちらをむいても、竹藪竹藪で、その外に何物もない。そのために、この里の住人は、却って藪のあることに気がつかない、ということであろう。余りに物があり…

円通寺

中秋の夕方、鴨の河原に降り立ちて東の山辺をうち眺むれば、四方の山々みなほの黔きに山の向うにほの白き何物かが見える。まだ姿を見せぬ月影の先駆的な御光であろうか、錦糸で縫い取ったかのように、一本の細い錦布を敷き列べたかのように、東山一帯の稜線…

社寺マニアにピッタリの路

南禅寺から知恩院へ抜けるには、岡崎経由と粟田口経由の2通りある。前者は疏水の流れにそって動物園、美術館、平安神官を横目に眺めながら、神宮道を南下する。後者は南禅寺境内をインクライン下のトンネルから京津国道に出たら、華頂山北麓の山道を縫って…

睡蓮の花咲く浄瑠璃寺

つい数年前までは、堀辰雄の「浄瑠璃寺の春」をたずさえた、ごく僅かな人影が、簡素な山門をくぐる程度の閑寂境なったが、最近は文字通りの〝古寺ブーム〟で、交通網も発達し、奈良からの直通バスが乗り入れているほどだ。農家の庭には、にわか仕立ての茶店…