京都の魅力

古寺巡礼、絢爛たる祭、歴史と文学のあとを訪ねる散歩みち

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

大徳寺

日常茶飯事といわれるように、茶を飲むことは最もありふれた日常の行為であるが、日本では「茶道」と呼ばれる特異な茶の飲み方が発達して、世界にも例のない美の世界を樹立した。茶に用いる道具、それを扱う動作、室の飾り、客に茶をすすめる時、すすめられ…

光悦寺と正伝寺

徳川家康が、ある時、京都所司代板倉勝重にたずねた。「本阿弥光悦はどうしているか」「元気でおります。ちょっと変わった男で、京都にも住みあきたからどこか田舎へ行きたいなどと申しております」「それなら近江、丹波などから京都へ入る道筋で、用心が悪…

修学院離宮

豊臣家を倒して天下をわが物とした徳川家康も、征夷大将軍の地位を天皇から授与されなければ、一介の大名にすぎない。官位の授与権は天皇が握っていた。家康は、まず朝廷対策に頭を悩ました。武力を持つ者には武力で戦えばよいが、古代以来、日本の王者とし…

詩仙堂と曼殊院~江戸時代の文人趣味

宮本武蔵と吉岡一門の決闘の場で名高い一乗寺下り松から、爪先上りの道を登って行くと、道の右手に一群の竹藪があり、その下に詩仙堂の間がひっそりと開いている。竹におおわれた薄暗い道を入って行くと、現代から隔絶された別世界へと導かれる想いがする。…

大原の里

大原は京都市内を去ること約12キロ、比叡山の北西麓にある小さな盆地である。四方を山に囲まれ、中央を高野川が流れる山里で、大原の名を口にするとき、人はなぜかいちまつの哀愁を感じる。それというのも、古典文学に登場する大原は、いずれも失意の人につ…